キャリアデザインに必要な「考えること」と「伝えること」

サッカージャーナリスト小澤一郎さんのYouTubeチャンネルで、永里優季さんとの対談動画を見つけた。

永里さんは、なでしこジャパンでも活躍した元プロサッカー選手で、今年2025年の3月に現役を引退。海外に渡り複数のチームで活動してきた彼女が引退の経緯やキャリアを振り返る、興味深い動画だった。

選手キャリアを振り返って「楽しいキャリアではなかった」「9割くらいは苦しんでいた」と語った永里さん。ドイツやイングランド、アメリカで合計15年間もトップレベルの世界で生き残りを賭けて来たのだから、苦労することも多かったと思う。
それでも「思い描いていたようなキャリアは歩めたかな」と語っていたのが印象的だった。苦しい中でもどんな選手になりたいか、どんな自分でありたいかを考え続けてきたからこそ、キャリアに対してこういうポジティブな手応えを得られたのではないだろうか。

動画の中でもう一つ記憶に残ったのは、永里さんが言語化に優れているのを小澤さんが賞賛していたこと。選手は自分の身体の状態を説明する場面があるし、自分がどんなプレイやトレーニングをしたいのかを伝えなければならない。これらは全て言葉を使ってコミュニケーションする活動だ。外国語が話せるようになるということではなく、日本語話者なら日本語で、考えたことや感じたことをアウトプットするという意味での言語化。チーム活動において、選手はきちんと伝える能力を備えることが必要と思うし、そのことをもっとスポーツの現場で考えてみたいと思って始めた「スポーツ&キャリアデザイン」。そんなことを自分にも思い出させてくれた。

永里さんは、プロ選手になりたての頃から、目の前で起こった現実をベースにその先で必要なことや改善点について考える力を身につけ、ある時からは嫌いだった本も読むようになったと話していた。考える力や言葉で伝える力をどうやって獲得するのかは人それぞれかもしれないけど、早いうちから意識しておいた方が良いように思う。パワーやスピードを身につけるのと同じで、コミュニケーション能力にもトレーニングの積み重ねが必要なはずだから。