シーズン前の引退発表

少し前になるが、女子バスケット「Wリーグ」の宮崎早織選手が引退を発表した。

彼女がマネジメント事務所に所属しているとはいえ、シーズン前にこうした発表の場を設けた選手はあまりいなかったのではないか。現役選手として重要な決断をしたこと、トップアスリートらしく会見を開いたことを尊敬するし、最後のシーズンをケガなく戦ってほしいと思う。

シーズン前に引退発表した理由を聞かれた宮崎選手は「ファンの皆さんを一番に考えた」と語っている。シーズンが始まる前にしっかり伝えて、試合会場に来てもらうことで「恩返し」がしたいとのこと。シーズン終了後に引退発表して「もうプレイが見れないのか」とファンをガッカリさせてしまうことを考えれば、選択としてはアリではないか。

今シーズンをもって引退が決まっている選手を、チームはどう受け止めているのだろう。ヘッドコーチは使いづらいとか思わないだろうか。他の選手が、辞めることが決まっている選手よりも自分にもっとプレイタイムが欲しいと思うかもしれない。でもそこは実力の世界なわけで、チームは最適な選手起用をしてくれるはず。

ファンや周囲が「まだできるのに」とか「次のオリンピックも目指せる」と思うのは仕方がないこと。実際に、家族からはそういう反応もあったと会見で明かしている。でも宮崎選手のキャリアを決めるのは彼女自身。「早くあきらめた」だの「やる気がない」だの、そんな風に言われることがあってはならないと思う。

そもそも「決めてそれを実行する」って、そんな簡単なことじゃない。年始に立てた計画をその通り実行できている人なんて、果たしてどのくらいいるのだろうか。現役最後と決めたシーズンが不甲斐ないものになったとしたら、一番ツラいのは彼女自身のはず。だから全力のバスケットを見せてくれるに違いない。

ここまでつらつら書いてきたが、何年か経って選手に復帰する、なんてキャリアだっていいと思う。最近でもWリーグ復帰を発表した前澤澪選手のケースがある。彼女がどんなパフォーマンスを見せてくれるかも楽しみだ。

キャリアデザインって、決める前にしっかり考えることができているなら、決めて進んで、決めて進んでの繰り返しで良いのではないだろうか。