プロスポーツ選手が「楽しむ」って言葉を使うとき
SNSを眺めていて、とあるインタビュー動画に心打たれた。どうやら子供レポーターが質問している様子。
インタビューを受けているのは、アメリカのプロバスケットリーグ「NBA」のチーム、ボストン・セルティックスのジョー・マズーラ(Joe Mazzulla)ヘッドコーチ。調べてみると、2022-23シーズンからヘッドコーチとして指揮をとるようになり、翌年の2023-24シーズンには、35歳の若さでチームを優勝に導いたスゴい人物だった。
子供レポーターが質問する:
「選手を厳しく指導しつつバスケットを楽しんでもらうように、どうやってバランスを取っているんですか?」
ほう、なかなか鋭く興味深い質問を投げかけてるなあと感心する。
この質問にマズーラは「それって私も悩むところなんだけど…」と前置きして答える:
「楽しい(fun)の定義は人それぞれ違っているように思う。」
「楽しむって言葉は状況が良くないところからの逃げ道になったりする。うまくいかないときに『さあ楽しもう』って言ったりするでしょう?」
「楽しむって何なのかをチームとして決めて、そこに向かっていく必要がある。」
そうそう、確かに!と思わず頷いてしまった。
スポーツの楽しさを味わうまでに、苦しい練習に耐えることもあるはず。いくら自分が活躍しても結果としてチームが勝てなければ、そのときは楽しいなんて言えないのではないか。プロの選手が口にする「楽しむ」という言葉に対してそんな違和感を覚えていた。元東京ヤクルトスワローズの宮本慎也さんが、現役引退時に「(仕事としての野球を)1回も楽しんだことはない」と語ったのを知って、むしろとてもしっくりきた記憶。
だから、インタビューなどで選手が「楽しんでやりたい」と話しているのを聞くと、過度に緊張しないようにイメージしているのかなあとか想像してみたり、理屈ではわからなくもないけど何だか腑に落ちなかった。そんな自分に動画のマズーラが重要なことを教えてくれた。楽しいと考える中身が人によって違うのだ。もしスポーツを楽しむという価値観を具体的に共有できたとしたら、きっと良いチームになっているはず。

